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無意識へのシナリオ

4-3 福岡県志賀島

 

「物・事・場」 福岡県志賀島(しかのしま)で行われている朝市において、2010年12月に「海の学校」という企画を行った。この地域では福岡県を中心にまちづくりの活動をしているNPO団体ミライオンを中心にまちづくり事業が運営され、海の学校では企画及びデザインに関わった。 福岡県の中心部である博多から車で20分ほどの場所にある志賀島漢委奴国王印が出土した場所としても有名で「志賀」という地名は滋賀県などにも存在し、この地域の祖先が全国に伝えたとされている。

 

志賀島

 

志賀島は陸続きになっている島で、昔は漁業の盛んな島として有名だった。しかし、現在では漁師の高齢化や島の人口減少などから漁業は衰退の一途を辿っている。そして、この島の衰退した文化・伝統は漁業だけではない。漁業の衰退に伴って、文化であった自らで魚を捌ける親や子どもが減っている現状がある。

 

場「志賀島」事「海の学校」物「シカノサラ」

 

私たちは志賀島の現状に対して、地元の魚捌き名人である主婦の方々を先生として向かえ、朝市参加者や地元住民を対象に「真似ぶ=学ぶ」をテーマに魚の捌き方教えるイベントを行った。昔当たり前にあった伝統・文化を地元住民が直に伝えること、割れたお皿で現状の志賀島を表現した「シカノサラ」や海の学校の企画内で行った「昔写真映像上映会」によって島の現状を知ってもらうことで島への愛着、危機感を感じてもらえると考えた。 参加者は、朝市で購入した魚を持ってイベント会場を訪れ、先生の見本を真似、先生から魚の捌き方を学ぶ。捌き終わった魚の切り身はシカノサラに飾られ、参加者や地元住民など皆で食した。自分で捌いた刺身の味は、買ってきた刺身とはまったく違う味であることを経験してもらい、志賀島にあった伝統・文化の素晴らしさ、島のポテンシャルの高さを伝えるきっかけ作りができた。そして皆で食べる、自分が料理した物を皆に食べてもらうことで、改めて人間が本質的に持っている喜びを体感してもらえたのではないだろうか。そして地元住民は、漁業によってまとまっていた古き良き時代を思い出し、このイベントは継続的に現在でも行われている。 海の学校という「事」とシカノサラという「物」をデザインし、その双方が関係することで、驚きや喜び、悲しみや願いを伝え、朝市参加者や地元住民に志賀島という「場」を体験してもらうことができた。

 

シカノサラコンセプト

 

もう一度島民一丸となって、島の発展のためにまとまって欲しいとの願いから、割れた陶器を墨で書かれた島の形をした書の中に接着し、ひとつの大きなお皿にデザインした。

 

書:天ケ瀬喜峰氏 協力 2012 本イベントは愛知建築士会名古屋北支部建築コンクールにて古谷誠章賞受賞